今池の某カフェにて執筆
こんにちは。
不動産エージェントの満月?です。
本日は不動産の教科書第2段、「売買契約」についてです。
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不動産売買契約の流れについて
まずは不動産売買の流れについて説明いたします。
- 購入申込みをする。
- 融資を希望する金融機関へ事前審査申込をする。
- 重要事項説明を受ける
- 売買契約書への署名押印&手付金の支払い
- 希望する金融機関へ住宅ローン本審査の申込手続き
- 金融機関と金消契約(ローン契約)
- 決済&お引き渡し
ざっくりとこのような流れで不動産売買は進んでいきます。
もちろん①の前に資金計画や物件の案内は済んでいるものとしてお考えください。
本日はこのうちの③・④の重要事項説明と売買契約書についてご説明いたします。
重要事項説明
不動産を購入する場合においてほとんどの方が気にされるのが間取りと価格かと思います。
というかそれくらいしか見てもわからないかと思います。
広告主に怒られても嫌なので特定できそうなものは消しましたが、こういう一般的な物件資料を見たとき、右側の細かな文字を気にされる方は少ないでしょう。
ですが不動産はもちろん価格や間取りも大事ですが、それ以外にも上記画像の右側に記載されている法令の他にも多数の制限があり、それを調べることは不動産の仲介会社の責務であります。
また売主の知りうる情報を告知する必要もあり、これら広告には記載していないことも含めて買主が理解・納得をしたうえで契約を進めていくことが何より重要です。
そのために用意されている行程が「重要事項説明」です。
重要事項説明は全て重要ですが、その中でもポイントとなるのは以下の点です。
- 売主は誰なのか
- 権利関係について
- 法令制限について(再建築可能な物件か、違法建築物か否か)
- インフラについて(水道等の負担金の有無など)
- 契約解除の種類と方法について
- 契約条項に優先する特約事項(取決め事項)について
他にも不動産の個別状況に応じてよく聞いておかないといけない項目は他にも出てきますが、上記6点については必ずしっかりと聞いておきましょう。
私は重要事項説明はおおよそ1時間ほどかけて説明します。
長くなりますがそれだけ重要な説明であることは理解しておきましょう。
特に契約解除に関する説明は後述する契約書の説明に重複する内容ですので、しっかりと説明を聞きましょう。
重要事項説明書には別添資料として売買契約書の「案」を作成して添付します。
重要事項説明書はあくまで当該不動産の取扱説明書であり、売買契約書は売主・買主の決め事を定めた書類となります。
書かれている内容が違うため、重要事項説明は理解・納得していても、双方の取り決め内容については納得いっていないということが契約当日にあってはいけないため、事前に重要事項説明の別添資料として売買契約書(案)を添えて契約内容の読み合わせを行い、契約内容にもご理解ご納得をしているかの確認が必要になります。
ただ上記は建前であることが多く、私の実務経験上、(愛知県の)多くの不動産会社は重要事項説明と売買契約を同日行うことがほとんどです。
かつ売買契約書の特に特約事項について、事前に買主に説明するということは行われておらず、契約日当日に両者お集まりいただいたときに初めて重要事項説明と売買契約書の読み合わせをするということが商慣習となっているかと思います。
売買契約書
買主は、重要事項説明を受けたあと特に問題がなければ売買契約書の読み合わせに移ります。
基本的には売買契約書(案)と同じ内容が書かれておりますので、金額や物件詳細等の誤字脱字が無いかの確認をして問題がなければ署名押印をいただきます。
契約書の約款については全部読まれる方と重要なところだけかいつまんで読まれる方と分かれるんではないでしょうか。
私は売買契約において重要な部分は重説で説明していますし、約款に優先する条項は特約条項に記載しており、そこは読み合わせをしておりますので契約書の約款の読み合わせは割愛してます。
契約書のフォーマットは自社で作成している会社もあれば、不動産保証協会作成のフォーマットを使う会社も多いです。
条項番号は各社差異がありますが、内容は基本的に同じで以下の内容になっています。
- 第1条(売買の目的物及び売買代金)
- 第2条(売買対象面積)
- 第3条(手付)
- 第4条(境界の明示)
- 第5条(売買代金の支払時期及びその方法)
- 第6条(所有権移転の時期)
- 第7条(引渡し)
- 第8条(所有権移転登記の申請)
- 第9条(物件状況の告知)
- 第10条(付帯設備の引渡し)
- 第11条(負担の消除)
- 第12条(印紙代の負担)
- 第13条(公租・公課の負担)
- 第14条(収益の帰属・負担金の分担)
- 第15条(手付解除)
- 第16条(引渡し前の滅失・損傷)
- 第17条(契約違反による解除)
- 第18条(反社会的勢力の排除)
- 第19条(融資利用の場合)
- 第20条(契約不適合責任)
- 第21条(諸規約の承継)
- 第22条(協議事項)
- 第23条(管轄の合意)
- 第24条(特約条項)
15条〜20条に関しては契約の解除に関する説明で重説にてすでに説明しております。
内容が重複することをなん度も説明することは買主にとって負担ですし、いたずらに契約時間を延ばすだけですので割愛した方がいいと思います。
1〜8条に関しては契約内容の読み合わせで説明するところで、そのことを定めているに過ぎません。
9〜10条は告知書と付帯設備に関して書かれておりますが、これも契約書の読み合わせに合わせて事前に売主に聴取していた内容を買主に説明しております。
特に中古に関しては付帯設備の免責事項を特約条項に定めたりしていることも多いので、特約に劣後する約款を読む必要性は無いかと思います。
11条〜14条は負担に関する説明ですね。
11条は対象不動産に既存の抵当権等が設定されている場合、売主の責任でそれらを抹消する旨が定められています。重説等でも説明している内容を契約書に落とし込んでいるだけの条文なのでわざわざ改めて説明する必要はないかなと思います。
もちろん抵当権等を抹消せずに所有権移転する場合は、特約条項にその旨を定めていると思います。
12条は印紙を誰が負担するかが定められてますが、業者売主でない限りは基本原本を2部作成して、売主買主がそれぞれ負担することになります。契約書にも記載されてますし、説明の重要度は低いかと思います。
13条は固定資産税等の清算に関する定めですが、基本的に特約条項に固定資産税の清算に関する内容を別途記載することが多いので書いてる場合は説明を省いてもいいかと思います。
14条も13条同様清算金に関する定めです。私道の負担金だったりマンション等の修繕金・管理費等の清算をどうするかの定めです。基本特約条項に日割清算やその起算日、支払方法について別途記載をしますのでそちらを優先します。
21条〜23条に関してはまああんまり気にしなくていいです。(笑)
ほとんど一般の消費者が気に止むようなことは書いてないので。
上記契約条項に優先する事項を定めた24条.特約条項は非常に重要ですので、こちらは1つ1つ読み上げて説明いたします。
手付金の授受
売買契約書への署名押印が終わりましたら手付金を売主へ支払います。
このとき手付金が数十万円、数百万円となるときに現金を持ち歩くのが不安になることだと思います。(最近物騒ですからね・・・)
そんなとき私は、買主が手付金を期日を設けて後日振り込むこととして、売主が手付金の着金確認をすることを売買契約の停止条件※とする特約条項を盛り込むことにしています。
いまどき現金を持ち歩くのは大変ですし受け取った方もいちいちATMに預け入れるのは手間でしょうからね。
ただしこれは売主が宅建業者の時は「手付金の供与」にあたるのでできません。
詳しくは
こちらに詳しいことを書いておりますのでよかったら見てください。
まとめ
不動産売買契約についてご理解いただけたでしょうか?
本日の授業で重要なことを一覧にしました。
- 重要事項説明書は不動産の取扱説明書
- 売買契約書は売主・買主の取り決め内容について記載した書面
- 重説では関係する宅建業者について、不動産の権利や違法建築の是非、再建築の可否、インフラについて、契約解除について、契約書の特約条項についてが特に重要ポイント
- 契約書の署名押印は特約条項について理解・納得してからすること
- 手付金は原則、契約と同時に支払う。ただし手付金の持ち運びに不安を覚える場合は後日振込対応できるか仲介業者に要相談