自宅近くのカフェにて執筆
こんにちは。
不動産エージェントの満月?です。
本日は不動産の買い方
「不動産はこれを見て買え」
の第2弾
『狭義の立地』
について説明していこうと思います。
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『狭義』の立地の定義
前回不動産は立地が9割というお話とともに、立地とは『広義の立地』と『狭義の立地』と2つの意味があることを説明しました。
広義の立地についてはこちらの記事ご参照ください。
狭義の立地はもっとミクロな視点でのお話となります。
どの街に住むかを選んだあと、その街の中でどのエリア・特性の場所に住むかを狭義の立地と定義します。
駅近はインパクト大
狭義の立地のポイントは思いつくだけで以下のようなものが要素となります。
- 最寄駅までの距離
- 最寄駅またはバス等最寄停留所の利便性
- 接道
- 買い物施設の集積度および距離
- 生活嫌悪施設等の有無
- 公園・歩道の緑化率
- 教育(保育)施設等の充実度
上記のようなポイントが狭義の立地になります。
最寄駅との距離は資産価値を重視するならかなり重要なファクターとなります。
それに関連して、その最寄駅が便利かどうかも重要です。
1〜2本/時しか走ってない普通のみ停車の駅の近くだったら利便性が高いとはいえず、もちろん沿線人口も増えないでしょう。商業施設の誘致もままならないでしょうから住み良いとは言えず、資産価値にも影響します。
資産価値だけでなく居住価値の面で見ていくと、やはりどんな生活を想定するかにもよると思いますが、不動産を買うタイミングとして一般的に多いのが結婚や子供ができたりとライフステージに変化があったときだと思います。
ファミリーを想定した時に住みやすい場所というのは、近くに公園があったり交番や警察署が近くにあったり、スーパー等の日常買い物施設が徒歩圏内に複数あったり学校や保育所等の教育施設があることも住みやすさに直結すると思います。
迷ったら駅近を選べ
狭義の立地をいくつか挙げさせていただきましたが、その中でもやはり最もインパクトが大きいのは『駅近』になります。
駅が近いというのは、他の要素と比べて替えが利かないため希少性・流動性が担保されています。
不動産広告ルールにおいて、駅の徒歩所要時間は「道のり80mごとに1分」とされています。
便宜上、本記事では駅の半径80m以内の物件は徒歩1分と仮定します。
とするならば、半径400m以内に存在する物件は徒歩5分の駅近物件となります。
ここで気づいて欲しいのは徒歩分数では5倍ですが、徒歩1分と徒歩5分の面積は25倍違うということ
円の面積の公式は半径×半径×π
最寄駅から離れれば離れるほど、加速度的に面積が増えていくことになり、その分競合物件が増えていくことになります。
徒歩1分(半径80m)と徒歩5分(半径400m)の物件では、
面積は6,400㎡<<<<<<160,000㎡
で25倍の開きがあることになります。
画で見た方が分かりやすいですね。
徒歩分数がたった4分の開きでも面積は25倍も変わってくるため、当然競合物件は増えて、資産価値は下がりやすくなるということが分かると思います。
需要に対して供給量が増えると価格が下がるという極々シンプルな法則です。
物件情報サイトで試しに駅徒歩1分と徒歩5分の中古マンションの物件掲載数を比較すると倍以上も掲載数に違いがあることが分かると思います。
競合がいない市場(ブルーオーシャン)は強いのです。
2択で迷ったら駅近を買ったら資産価値的には間違いないです。
画像引用先:三井住友トラスト不動産HP不動産マーケット情報
上記画像は駅から1分離れるごとに中古マンションの坪単価の変化をグラフにしたものです。
徒歩1分を0(基準)としたときの価格差を表したグラフです。
これを見ると首都圏はやはり電車移動が主な移動手段となっていることもあり、駅徒歩距離が非常にシビアに価格に反映されていることがうかがえます。
全国的に徒歩6分から7分のところで大きく価格差がついてることが分かるかと思います。
首都圏では6.7万円/坪の価格差があります。
近畿圏では5.6万円/坪の価格差があります。
中部圏では3.9万円/坪の価格差があります。
徒歩7分を超えると全国的に駅から遠いという共通認識があると言えるかと思います。
また面白いのは中部圏は徒歩7分までは徒歩1分のマンションよりも高い坪単価で取引されていることが分かります。
これは私が思うにまだ名古屋は駅直結のタワーマンションの供給が多くないので、中古マンションの取引件数が少ないために起こる統計上の現象だという点と中部圏がクルマ社会という点の2点が要因だと思っています。
n数※1が増えてこれば、もしくはn数が多い3分、4分くらいを基準値(0)にして統計とれば普通に右肩下がりになってくると思います。
また、名古屋は山の手の地区の中で駅から離れたあたりに高級住宅街を形成していることもあり、駅直結よりも多少離れたところの方が人気が高いということも影響しているかと思います。
戸建てなら接道がめちゃ大事
戸建てにおいては駅の近さと同じくらい重要なファクターになるのが『接道』です。
と定められておりますが、接道義務を満たしてたら良いというわけではなく、私のいう接道とは
接続する道路の幅員✖️接してる間口
の関係性と定義します。
図で言うとこんな感じの関係性のことです。
私の理想とする接道は、幅員5〜6mかつ間口は9m以上
です。
ちなみに上記の土地分譲があったとき、坪単価順に並べると、
❺>❸>❻>❶=❷≧❹
となるかと思います。
❺は当然高いでしょうが、予算が許すなら買いでしょう。
❸も買いですが、左右に隣地の駐車場が来るので人影が気になるかもしれませんので、開口部の配置は気にした方がいいです。
❻はいわゆる及第点です。『割安感があって他に候補が無ければ』って感じですね。
接道が幅員も狭いし間口もそこまで広くないのが気になります。
南隣地の配置上、建物は北側に寄せるのが必至でしょうからまず日当たりが悪いです。
採光を考えて
¬
こういう形の家にする手もありますが、耐震性が悪くなるのであまりおすすめしないです。
9m間口があったら結構良かったかもしれませんね。
❶、❷、❹は論外です。よっぽどの理由がない限り買わない方がいい土地です。
理由は以下の点です。
掘り下げて解説していきます。
延長敷地の特徴と問題点
延長敷地とは、分譲会社が分譲戸数を増やすためだったり販売価格を抑えたりするために、住みやすさやメンテナンス性を度外視して売りやすくするために生み出された区画割のことです。
分譲会社はおおよそ30〜40坪程度の土地に建物を建てて販売しますから、100坪程度の土地があれば2宅だと大きいなとなんとか3宅分譲ができないか考えます。
2宅であれば1000万円×2宅地=2,000万円
の売上であるところを、
3宅であれば750万円×3宅地=2,250万円
と区画割を工夫するだけで250万円も付加価値を生み出すことができます。
そんな販売サイドから生まれた延長敷地ですが、購入サイドにもメリットがあります。
もちろんデメリットもあるのでそれを理解して購入することが大切です。
- 整形地より安く買える
- 道路から奥まった位置に家を建てるので人目を気にしなくてすむ
延長敷地は私の実感ですが同分譲区画内でおよそ100万円〜400万円ほどの価格差がつけられています。
100万円はあんまり旨味がないですが、400万円くらい安い延長敷地は結構狙い目だったりします。
また北道路に接道する土地で南側に庭が作れるほどゆとりのある延長敷地の場合は、南側隣地の北側は大きな開口部を作る心配もないので、人目につかないプライベート空間の庭を堪能することができます。
また通行人が見えるのが気になるという方も、奥まっている延長敷地はメリットに感じることでしょう。
デメリット
- 売却しづらい
- 外壁塗装等リフォームや建替え時、単価が高くなる可能性あり
- 足場を組むとき隣地に越境する可能性が高く気疲れの要因になる
- 駐車場から玄関までが遠く、雨の日や重いものを運ぶときにストレスとなる
- 縦列駐車となるので車が2台ある場合に帰宅の順番によって車の入れ替えが必須
- 車を駐車していると自転車を出しづらい
まずなんといっても資産性が低いです。
流動性が低いとも言えますか。
中古戸建ての延長敷地を名指しで探してる人なんてほぼいないです。
ほぼ価格での勝負になるのでローン残高と睨めっこになるかと思います。
次に問題なのはメンテナンス性が乏しいことです。
外壁塗装や屋根塗装は足場を組むことになりますが、足場を運ぶのに大きなトラックが入れない場合は路上に車を止めないといけないです。
場合によってはガードマンを用意しないといけない場合もありますね。駐車場と家も離れてるので足場を積んだ車を家の前まで停められないので、足場を少しずつ駐車場から家の前まで運ぶのにも余計な時間がかかるため工期の長期化につながります。
また区画割によっては隣地との隙間がほとんどない物件も見受けられます。
そういった物件の場合、足場を組むのに隣地に跨って足場を組んでも良いかお願いしないといけません。お互い様かもしれませんがそれでも気を使いますよね。。。
40年、50年後建て替えを検討する時期になったときはどうするんでしょうか。
路地状部分が狭くて重機が入れない場合、手作業で解体していくことになりますので通常の倍以上の金額がかかることもあるかもしれません。
その後、家を建てる時も同様に通常の開けた土地と違うので余計な人工がかかること間違いなしです。
そう考えるとまだ築浅の中古戸建てなら売れるかもですが、延長敷地の築古戸建てはだいぶきついでしょうね。
建築単価が通常以上に高くなるなら安く土地を買いたい買主と、解体更地渡しの土地で解体費が通常以上に高くなる土地を売る売主。
やはり最初に戻りますが資産性は乏しいと言わざるを得ませんね。
延敷の中古戸建てを売りたいって相談に来られるお客様の中で売却理由を聞くと、結構多いのは「ライフスタイルの変化で車を2台に増やしたくなって生活がしづらい」というお声が多いです。
延敷は車が2台だったり子供が自転車に乗るようになったりするとかなり生活しづらいと思います。
そういったライフスタイルの変化が10年も住んでれば必ずあるので本当によく考えた方がいいです。
私としてはやはりこの資産性が低い(メンテナンス性が低いことも詰まるところ資産性につながります。)と言うのが本当に危険(特にまだ終の住処にするには早い方々)ですので、延敷は全くおすすめできません。
狭小地の特徴と問題点
狭小地とは明確な定義があるわけでは無いですが、主に25坪以下の土地に対して言うことが多いですね。
土地の価格が高い都心部に建つ分譲戸建ては、その販売価格を抑えるべく土地を細切れにしている区画割が多く、狭小住宅が大変多いです。
オー○ンハウスさんは都心部の狭小住宅で非常に有名ですね。
- 地価の高いエリアでマンションじゃなく一戸建てを安く買える
狭小地のメリットはこれに限ります。
名古屋市で言えば東区、千種区、昭和区といった高級住宅地においては土地の坪単価が100万円を超えるところも多く、こういったエリアの駅近の新築戸建てをおよそ4,000〜5,000万円のレンジで買えてしまうところに最大の魅力があります。
このエリアですと築20年以内の質のいい中古マンションでおおよそこのくらいの金額ですので、管理費等・駐車場代がかからない戸建てであればむしろ月々のキャッシュフローはマンションより改善しますので検討する方が多いのも分かります。
デメリット
- 売却しづらい
- メンテナンス性が最悪
- 土地の価値もさほどない
延敷と同じく売りづらいですので資産価値が低いです。
まずオー○ンハウスが都心部にポコポコ新築を建ててますので、中古より新築がいいと普通はなりますから、同じような分譲戸建ての中古は見劣りします。(需要<供給)
さらにメンテナンス性が最悪です。
かなり隣地区画ときっつきつに建てます。
私が以前預かった中古は、熱田区にある金山駅※2徒歩7分の中古戸建で立地は抜群です。
土地は15.2坪の土地で2区画横並びに分譲されていた物件でした。
オー○ンハウスの物件はその時初めて預かったのですが、その物件に覚書がありまして、『隣地との境界線から50cm未満で建てることを互いに承諾する』旨の覚書でした。
そもそも民法第234条において、『建物の築造には隣地から50cm以上離さなければならない』ことと規定されており、それを覚書で無いものとしています。
たまたま預かった1件だけがそのような覚書があるというよりかは、当該会社は多くの分譲物件に同様の覚書を契約時に添付していると思った方が妥当と言えると思います。
それくらいギッチギチに建てていますからエアコンの室外機も大きさによっては設置不可能でしょう。
オー○ンハウス然り飯○GHDが建てるいわゆるローコスト住宅は外壁は耐久性の低い窯業系サイディングを採用、屋根材はアスファルトシングルやスレート材を採用してますから10年後には塗装が必要になります。
外壁塗装も屋根塗装も足場を組みますが、そんなギッチギチな区画割でどうやって作業するのでしょうか。
現実的な方法は隣地を跨がせてもらうことでしょうがまぁ気を使うでしょうね。
そんな気苦労してまで駅近狭小戸建てを買いたい人は少ないでしょう。
また当然、次回メンテナンスのことを考えて、多少割高でも耐久性の高い塗料を使ってなるべくメンテナンスの回数を減らす工夫をすることでしょう。
そうすることでメンテナンスコスト(長い目で見たら安いのかも知れませんが、短い目で見たら高いです)が高くなるし、もし途中で売却することになった時はその残存期間は価格に反映されないことを考えるとかなり勿体無いです。(中古戸建ての売却査定において外壁塗装の塗料の品質によって価格なんてほぼ変わりませんから)
数十年後、家がボロボロになり建て替えや土地売りを考える時期となったときを想像してみてください。
まずそんな狭小地を建てられる工務店はそんなに多くありません。またオー○ンハウスで建てることになるかもしれませんね。他の工務店を選んだとしても当然割高です。(需要>供給)
土地売りはどうでしょうか?
注文住宅用地を探してる方がその土地を買っても建てられる会社が割高な工務店かオー○ンハウスしかないと分かってたら当然安く土地を買いたいですね。
そもそも注文住宅を考えてる方でそんな狭小地を好んで探してる人はほとんどいません。
流動性も低く資産性なんてあったもんじゃありません。
隣地の方に買ってもらうのが1番いいんじゃないでしょうか。
とまあここまでが狭小地のメリデメになります。
やはりメリットに関してデメリットが大きく、狭小住宅も全くおすすめできません。
強いて言うなら、『売り抜ける』と言う意味で、10年前ぐらいに購入した物件ならこの10年で新築がかなり値上がってることもあり、今ならローン残高を超えて売ることも可能でしょう。
それを超えてくる年数だと、リフォームも結構な金額いくでしょうから結構売るのに時間かかるかもですね。
商業施設がたくさん集積しているとQOLが爆上がりします。
詳しくは以下の記事を見ていただきたいのですが、生活利便施設が家の近くにたくさん集まっていると非常に便利です。
人それぞれどんなお店が集まってると幸せに感じるかは異なるので、そこは自分自身問うてください。
私はスーパーやドラッグストアはもちろん、カフェや銭湯、レンタルコミック店が徒歩圏にあると非常にQOLが上がります。
私はお酒が結構好きなので車で行かないといけない距離感の銭湯だと、サ活後のハイボールが飲めないのが苦痛なんです?
家だけでなく、周辺環境にも気を配って長く住みたい不動産を購入できるといいなって思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回はミクロな視点から見た立地選びのポイントついてお話しさせていただきました。
自治体選びはどちらかというと資産価値に大きく影響するファクターであるに対し、狭義の立地では資産価値もさることながら居住価値に大きく影響を与えるファクターと言えるかと思います。
不動産は購入したら終わりではなく、むしろ購入してから数十年と付き合っていくものです。
ですが不動産仲介会社のほとんどは売って終わりです。
購入後どんなリスクが待ち受けているかをしっかり説明する営業マンはかなり数少ないと言えます。
不動産の性質上、そういった不具合やリスクが顕在化してくるのが購入後数十年経ってからですからね。
だから説明しなくても不動産会社にその説明責任を追及されることは無く、買い手の自己責任で済まされてしまうのです。
だからこそ、そんな不動産業界の闇をぶっ壊すべく、こうして情報発信をしている所存です。
ただどうしても買い手の自己責任というのはなかなか変わりませんので、購入者の皆様、どうか勉強をしてください。
そのために私ができる最大限の良質な情報(記事)を提供していきます!
どうか、国民の皆様が住宅購入を通じて豊かな人生が送れますように・・・
今後ともゆっくりではありますがブログを継続してまいりますので、よろしくお願いいたします。
- マクロな視点での街選び(自治体)をしたあとは、ミクロな視点での街選びをしよう
- 迷ったら駅近を選んでおけば間違いない。(大怪我は防げます)
- 戸建てを選ぶなら接道が超重要(幅員5〜6m、間口は9m以上)
- 延長敷地と狭小地はやめとけ
- 居住価値を高めるには家の間取りよりも周辺環境(生活利便施設)をよ〜く確認すること
- 不動産のリスクの顕在化は買ってから数十年後。今後どんなリスクがあるかは不動産業界の構造上、(今のところ)担当営業マンに頼るのは難しい。自分で調べるしかない。
それでは次回「#3 団体信用生命保険について」でお会いしましょう。