自宅にて執筆
こんにちは。
不動産エージェントの満月?です。
本日は不動産の買い方
「不動産はこれを見て買え」
を記事にしようと思います。
今回は第1弾ですね。
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前提条件
まず原則を伝えておきますと、不動産の購入を考えている方は資産形成として家を買いたいのか、はたまた自身の夢や希望を叶えたり満足感を得るために買いたいのか。
これをはっきりさせる必要があります。
後者であれば好きに買っていただいて構いません。
自身のリスク許容度をしっかりと把握して、住宅購入のリスクを考えたうえであれば、どこにどんな家に住もうが誰にとやかく言われる筋合いはないでしょう。
住宅購入のリスクについての記事を過去に書いております。
ご興味があったら是非見てください。
前者のように資産形成として家を買いたいのであれば、自分たちのライフスタイルに合う物件かつ資産価値が高い物件を買う必要があります。
また住宅購入はしたいけどリスクを極力抑えたいという方にもぜひ見ていただきたいです。
ここでいう、資産価値というのは
購入代金ー売却代金=資産価値
と定義させていただきます。
詳しいケーススタディは別記事でさせていただきますので、簡単に買った金額よりも売った金額の方が高くなったり、買った金額と売った金額との差額が、その期間同程度の賃貸物件に住んだ時の賃料総額と比較した際に小さければ資産価値の高い物件を購入できたということになります。
したがって今回お伝えしたい内容は資産価値が高い物件を購入して、賃貸よりも居住快適性の向上を見込みつつ資産形成もできる物件を探したいという方に向けて発信します。
街(自治体)選びが最も重要
不動産は立地が9割
このような格言を聞いたことはありませんか?
まさに不動産は動かせないものですのでどの位置に存在しているかが最も重要であるということです。
立地というと”駅近”を思い浮かばれる方も多いかと思いますが、立地は大きく広義の立地と狭義の立地に大別されます。
広義の立地はどの街(自治体)に住むか?というマクロ的な視点での立地になります。
関東に住むのか、九州に住むのかそういった広い目線で見たときの立地であり、不動産購入において最も重要なポイントになります。
なぜか?
不動産の価格は人口動態が大きく影響するからです。
インターネットの普及によってモノの価格は全国でほとんど価格が変わらなくなりましたが、こと不動産においてはその街の訴求力によって全国で大きく価格に開きがあります。
人口動態とは人の流れのことだと思ってください。
どれだけ人を吸い寄せることができるかで、その街の魅力は上がり、その街に住みたい人が増えることで需要が高まり価格が上昇します。
特に不動産は供給量は決まってる(土地の面積は増やせない)わけなので、求心力がある街にしていけばいくほど不動産価格は上昇します。
狭義の立地はいわゆる接道や最寄駅との距離や駅規模、生活利便施設の集積度が該当します。
狭義の立地も大事ですが、広義の立地を間違えなければある程度はカバーできてしまうため最も重要なファクターは広義の立地であると言えます。
例えばお店の集積度や最寄駅との距離感等は東京や大阪、名古屋といった大都市であれば駅密度(市内にある駅÷市域面積=1km2あたりの駅数)が高く、平均して最寄駅まで近い物件が多くなります。
また人口密度も高いので小さな通過駅でも沿線住民の数が多く、商業施設も駅前に立ちやすくなり、狭義の立地を自然とカバーしてしまえます。
だから街選びが大事なのです。
ただし、広義の立地と狭義の立地は掛け算の要領と同じで、どちらかが欠けてしまうと積は0になってしまいます。
だからどちらも欠けてはならない重要なファクター(要素)です。
例えば狭義の立地で接道(敷地と接している道路の関係)が最悪で、無接道(道路と接続しておらず、他人の敷地を通って道路に出られる敷地のこと)や狭小間口(道路と接している幅が極端に狭い)であればいくら東京のど真ん中であろうとほぼ無価値の土地となります。
接道してる隣地を買い受けるかもしくは無償譲渡くらいしか処分方法がありません。
私の見解としては広義の立地7割、狭義の立地3割くらいの重要度で見ております。
立地が大事かつマクロの視点で見た街選びが不動産購入に非常に大事だということが分かっていただけたかと思います。
街(自治体)選びのポイント
街(自治体)選びがいかに重要であるかをご理解いただいたうえで、次にどのように選んでいけばよいのかをお伝えしていきます。
- 人口規模
- 人口増減率
- 財政健全度
人口規模
自治体運営において最も重要なのは人口です。
人口が多ければ働き手がいるため企業誘致につながります。
企業誘致ができれば雇用の受け皿が増え、転入数が増えます。
人口流入が増えると不動産市場が活発化し、固定資産税の税収が増えて財政が健全化します。
財政が潤うとより公共サービスを増やして住民の生活サービスの向上となり、街への訴求力がより高まります。
上記は一例ですが、このように人口が多いと自治体運営にとって非常に有益となります。
おおよそ20万人以上の人口を有する自治体(中核市要件)であれば人口規模としては十分かと思います。
私の住む愛知県でいえば
名古屋市、豊田市、岡崎市、一宮市、豊橋市、春日井市が該当します。
名古屋市のベッドタウンとトヨタ企業群のベッドタウンに人が多く住んでますね。
愛知県の良いところは名古屋一極集中ではなく、求心力が名古屋市とトヨタ企業群(豊田市・刈谷市等の西三河)に分散されているところです。
いい具合に人が分散されていることで多くのエリアで将来性が高い自治体が多く見受けられ、今後の人口減少社会においても多くの自治体で不動産の価値が維持されるであろうエリアが散見されます。
今後東京一極集中から地方分権化に舵を切ったら、多くのエリアで雇用の受け皿がある愛知県はより魅力が高まるだろうと予想してます。
2020年度の国勢調査の結果において、全国の市町村の人口のうち人口が20万人以上の都市は180あり、そのうち50万人以上の都市は35あります。
人口増減率
人口規模だけでなく、人口増減率も自治体選びには重要なファクターです。
人口増減率はその自治体に求心力があるかどうかが分かります。
現在人口はすでにどこの自治体も沖縄を除いて自然増になることはほぼないので、社会増による増加しか見込めません。
いかに自治体の魅力を発信して他地域から人を呼び込めるかが自治体の将来にかかっています。
毎年ごとの増減率では、その年の分譲戸数によって大きく変わることもあるので、国勢調査の結果をもとに5年ごとの人口増減率を見て判断するといいかと思います。
2015年~2020年の調査結果では、全国の市町村においてその期間内に人口が増えた市町村は430あり、そのうち増加率が3%を超える自治体は166あります。
1965※ある自治体の中で人口が増えている自治体は21.8%に限られます。
偏差値でいうと約58くらいにあたります。
3%を超える自治体は全体の8.4%・・・偏差値で言うところの約64くらいにあたります。
先進国になればなるほど合計特殊出生率※は下がっていきます。
日本は完全に下降トレンドに入っている中で、こうしてトレンドに反して人口が増えている都市というのはそれだけ求心力が高いことのあらわれであると言えます。
ただし、人口規模が小さい都市であるほど増減する人口の絶対数が小さくても増減率に与える影響は大きいため、増減率一つの指標だけ見るのではなく、人口規模等と照らし合わせて複数の指標で総合的判断をしていくことが大切であることを忘れないように
当然ですが人口が少ない市町村の方が増加数に対する増加率は高く出やすいです。そのため3つの指標を総合的に判断していくことが大切です。
財政健全度
自治体運営において大事なことは人口だけではありません。
財政の健全度も重要なファクターといえます。
自治体には過去に建築した建造物や公共道路やトンネルなどの財産が多数あります。これらは主に高度経済成長期に建築されたものがほとんどで、すでに50年以上迎え、老朽化対策を今すぐにでもしなければいけないものばかりです。
さてこれらの修繕コストや維持管理コストは人口減少による税収不足が危ぶまれる自治体において、適切な管理が果たしてできるのでしょうか。
ただつぶせばいいというものではありません。自治体の文化施設はその街の求心力にもなりえます。
これらのことから当サイトでは財政健全度の指標として、各自治体が公表している「財政力指数」および「経常収支比率」を基にその総合点で自治体の財政健全度を量ることとしました。
全国の市町村の財政健全度指数を並べて上位15%(0.8以上)を+3、下位15%(0.21以下)を+1、中位を+2として評点を付けました。
また経常収支比率も同じく上位15%(82.5%以下)を+3、下位15%(94.8%以上)を+1、中位を+2として評点を付けました。
この2つの指標の平均点をその自治体の財政健全度としました。
財政力指数・・・簡単に言うと税収÷見込み経費額の3年分の平均値。税収に対してかかる経費が少ない方が財政は潤うので1以上が望ましい。1以下は赤字財政で地方交付税交付金を国からもらっている。
経常収支比率・・・経常経費を経常収入で除した百分率で、税収入に占める固定費の割合を表したもの。この値が小さいほど突発的な財政需要に備えられたり公共サービスの積極財政がしやすい。
上記3点を総合的に判断して、自分が住もうと思っている街の”街力”がどんなもんなのかをぜひ把握してみてほしいです。
街力を調べてみよう
では実際に上記の算出方法をもとに街力を量ってみようと思います。
愛知県全国のデータを作ってみたのでこれで街力を算定してみようと思います。
まずは「名古屋市」と入力・・・と
ここのセルに自治体名を入力すると自動でその自治体の評価項目の評点が入力され、グラフを出します。
やはり名古屋市はかなり街力が高いのが分かります。
他の都市のグラフを重ねて表示することもできます。
こうして重ねて見比べるとやはり名古屋市は欠けてる項目が無く、全体的にレベルが高いことがうかがえるのじゃ。
他の都市は総合点は同じく7点だとしても突出してる項目と欠けてる項目があってバランス感に欠けるのぉ。
名古屋の吉祥寺「長久手市」は愛知県に限らず全国でも人気上位の市町村ですが、人口の少なさが足を引っ張り、総合点で見るといまひとつな感が否めないことが分かります。
実際急激に人口が伸びている都市だけあってインフラ整備が追いついておらず、慢性的な渋滞が起きています。
人口が多い都市ほど街が成熟しておりますので、長久手市のような新進気鋭の都市は都市基盤の整備がととのうのはもう少し先でしょうね。
さて、今回作ったデータは愛知県の自治体のみに限りますが、全国のものを作成してお家探ししてる方に使っていただきたいと思っていますので全国版をリリースしたらまたご連絡いたします。
全国版を作成しました。
愛知県は前述したように雇用の受け皿が多く、全国の優良企業が愛知県に本社を構えます。
そのため愛知県は非常に財政健全度が高く、我が国では東京に次ぐ第2位です。
そのため基本的にどの市町村も財政健全度指数が高く出がちです。
街力・・・自治体が持つ求心力や将来性などを人口規模、人口増減率、財政力の3つの視点から指標化した筆者の造語
立地適正化計画や都市計画マスタープランを見てみよう!
これまで自治体の人口規模などの数値で見られることに着目して説明をしてきましたが、自治体選びに大切なことは実はそれだけではありません。
上述した『街力』を見て気になる自治体が見つかったらその自治体のHPをぜひ覗いてみましょう♪
各自治体が『都市計画マスタープラン』というものを公表しています。
これは法令で義務付けられているもので各自治体に必ずあるものです。その街の都市計画の運営方針を示したものです。
さらにそれを地域ごとに落とし込んだものを『市町村マスタープラン』といいます。
また、2014年に施行された都市再生特別措置法によってさらに立地適正化計画を公表している自治体もあります。
こういった計画を作るにあたって、その街が20年後30年後どうなっていきたいかのビジョンとともに公表されていくので将来にわたって住みやすい街になっていきそうかを考えることができます。
参考に名古屋市の立地適正化計画のリンクを貼っておきます。
なごや集約連携型まちづくりプラン(立地適正化計画)について
こういった都市計画構想や将来ビジョンをしっかり持っている自治体の方が安心して永住することができるのではないでしょうか。
その街を応援したい!住んでみたい!
そう思える街に住んでいただきたいなと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回はマクロな視点から見た立地選びのポイントついてお話しさせていただきました。
資産形成として住宅購入を考えている方において、資産価値は切っても切り離せない重要なファクターです。
そんな資産価値に直結する街選びの参考になればと思って今回の記事をしたためました。
私は愛知県で不動産営業をするしがない会社員ですが、いずれCFP®も備えています。だからこそ合理性だけでは選択できない部分もあるかと思いますが、少しでもご自身のライフプランに最適な判断ができるよう有益な情報を提供できるファイナンシャルプランナー兼宅建士として活動していきたいと思っております。
今後ともよろしくお願いいたします。
- 資産価値を考えて家を買うなら街(自治体)選びがマスト
- 駅近とかの立地は狭義の立地。重要度としては街選び(広義の立地)の方が高い
- 筆者の見解では、街の強さは「人口規模」、「人口増減率」、「財政健全度」で測れる
- 名古屋はやはり強い(安定感抜群)
- 立地適正化計画も見るとよろし
それでは次回「#2狭義の立地について」でお会いしましょう。
[…] 本日は不動産の買い方の第1段「街(自治体)選びについて」の補足、 「立地適正化計画」 について説明します。 […]