
こんにちは。
不動産エージェントの望月です。
本日のお客様はどのようなことでお困りでしょうか?

こんにちは
住宅を購入する動機が固まり、資金計画も終わったのでようやく物件選定をしていきたいと思っています。

かしこまりました。
着実に住宅購入のステップが進んでいますね。
最後までお付き合いさせていただきます。
立地の大切さについて
不動産は読んで字のごとし動かない財産です。
したがってどこに所在しているかが資産価値に最も影響を与える要素になります。

大まかにいえば不動産の価格の9割は立地で決まるといっていいと思います。

え?9割も?!

はい、そして9割部分にあたる立地は
広義の立地(7割)
狭義の立地(3割)
に分けて考えられます。

不動産の価値って意識しないとダメなんですか?

それについては以下のリンクをよく読んでください。
最終は個人の価値観のため住宅購入の目的を考えたうえで価値に重きを置いてなければ別に気にする必要はないと思います。
ただローンをして買うのであれば債務超過(ローン残高>資産価値)の状態がいかに危ないかは認識し、万が一の時の対応策は考えておく必要はあると思います。


実家の近くで選ぼうと思ってたけどそんな単純な話ではなさそうだね。

リスクを考えたうえで実家の近くを選ぶならいいですが、リスクも考えずに実家の近くや今賃貸で住んでるところの付近で探す、などはSTOPをかけたいところです。
不動産は立地が最も重要ですから、単純に決めていいものではないことをこの章ではお伝えさせていただきました。
広義の立地について

この章では広義の立地について解説していきます。
先述したように不動産の価値の9割は立地で決まり、その大部分は広義の立地で決まると考えられています。
広義の立地とは
自治体選びのことであり、どの街(自治体)に住むかということ
主に街の人口規模、産業集積度合い、財政基盤を見て自治体の将来性を判断する。

どんな街(自治体)がいいのかな

自治体選びにおいて重要なことは住みやすさと将来性です。

どのように判断すればいいですか?

私の作成した街力判定ツールをご利用ください。

自治体名を入力(もしくはプルダウンリストから選択)すると
人口規模
5年間の人口増減率
財政健全度
を指数化した街力を判定することができます。

すごい!
これで気になる自治体の街力を簡単に見れますね。

人口規模と人口増加率のデータに関しては、2020年実施の国勢調査の結果を利用し作成しています。
人口増減率は直近で人口規模が小さい街でタワマン等が林立すると急激に上がったりしますので、5年間で均し、人口(産業)集積がどの程度継続的になされているかを見るために、あえて直近ではなく5年ごとの国勢調査の結果を用いています。
人口規模は住みやすさに直結します。
人口50万人は政令指定都市への移行要件の1つになります。
政令指定都市は都道府県の持つ行財政権力の8~9割程度の権限が委譲されるので、より市民のために細やかでスピーディな行政サービスを提供できます。
また単純に人口が多いほど世帯数も増加するため、不動産の取引が活発になります。(=流動性が高い)
人口増減率は人口集積、産業集積がどの程度積極的になされているかをみます。
人口動態と言ったりもします。
その街で(補助金等によって)新たな産業集積が行われ、企業誘致が成功すると雇用を求めて人口がその地で増えます。
またマンションディベロッパー等が産業集積地の近隣のベッドタウンにタワマン等を建設しても人口は増えます。
またタワマンをたくさん建てるには自治体の都市計画の緩和措置や補助金の投入等、官民足並みそろえての再開発事業になってきますから、自治体が人口減少に対してどのような姿勢(意気込み)であるかがこの指標には色濃く表れます。
財政健全度は2つの指標を基に指数化しました。
①財政力指数
簡単に言うと自治体の税収入を公共サービス等の財政支出額で除した数値の3年平均です。
『1』を割る自治体は税収よりも支出額の方が大きい赤字自治体ということで、国からの補助金(地方交付税交付金)が交付される団体になります。
②経常収支比率
自治体の余裕資金の多さを見る指標です。
確定した収入のうち確定している必要経費がどれだけ占めるかを表し、数字が低いほど必要経費以外の支出に財源を投入できるため、機動的な財政出動がしやすく、人口動態の変化や時代の変化に応じて多様な公共サービスの施策を打ち出しやすくなります。
本ツールでは①、②の指数の平均値をその自治体の財政健全度としました。
街力判定ツールの使い方

実際に街力判定ツールを使ってみましょう

グラフ化されてて視覚的に見やすいね

イメージや広告に惑わされないように、数値で自治体のポテンシャルを測ることができます。ご自身が住みたい街の参考にぜひ使ってみてください。
狭義の立地について

街選びの大切さはわかりました。
住みたい自治体の他に気を付けるべきポイントはありますか?

自治体選びの次は狭義の立地選びも気を付ける必要があります。
不動産の価値は足し算ではなく、かけ算です。
広義の立地が良くても狭義の立地がどうしようもなければ”0=価値がない”になりかねないので狭義の立地についても見るべきポイントを確認していきましょう。
狭義の立地とは
・最寄り駅の規模および距離
・立地適正化計画
・周辺の生活利便施設の状況
・教育環境
・接道状況
etc・・・
このように気になる物件の具体的な立地状況についてを狭義の立地という

たくさんあるんですね!?
どうやって選んでいけば・・・

一つひとつ解説していきますね。
最寄り駅の規模および距離
駅の近さは特にマンションにおいて資産性に直結します。
マンションを購入する人の行動心理の大半は(通勤や生活に)便利な場所に住みたいや資産性(売りやすいし値崩れしにくい)を重視しています。


このことから資産性を重視するのであれば駅近くは妥協してはいけないポイントです。
忘れてはならないのが駅の規模です。

周辺にスーパーやコンビニもない1時間に1~2本しか止まらない駅よりも快速等の優等列車停車駅の方が利便性が高いのは言うまでもありません。
それらも踏まえて最寄り駅の条件を見ていく必要があります。
愛知県内でいえばおおよそ次のような条件下が望ましいです。
1日の乗降客数 | 駅までの距離 | 代表駅 |
5,000人以下 | 駅徒歩5分以内 | 稲永駅(名古屋市港区) |
5,000人を超えて10万人以下 | 駅徒歩7分以内 | 藤が丘駅(名古屋市名東区) |
10万人超~ | 駅徒歩10分以内 | 名古屋駅(名古屋市中村区) |
マップあいちにて駅別乗降客数は簡単に調べられます。

多くは駅徒歩7分以内の駅規模になることでしょう。
7分というと道のりで駅から560m以内です。
立地適正化計画
コンパクトシティという言葉を聞いたことはあるでしょうか?
人口減少時代においてこれまでのように市街地が拡大していくと、自治体の公共サービスが全市民に十分に行き届かなくなってしまいます。
限りある財源を効率的に活用していき財政を健全化させることが各自治体の喫緊の課題となっています。
そこで優先的に公共サービスを提供していくエリアとそうでないエリアを新たに線引きする計画を立地適正化計画といいます。
主に2つの区域を設定します。
- 都市機能誘導区域・・・積極的に行政施設や教育施設、医療施設等を集積し生活利便の向上を図るエリア
- 居住誘導区域・・・優先的に公共インフラの提供、維持管理、日常生活施設を誘導をしていくエリア

名古屋市では都市機能誘導区域を鉄道駅の600m圏域に設定しており、先述の徒歩7分圏とも被ります。
マンションを検討し、資産価値を意識している方は基本的には都市機能誘導区域内をお勧めします。
立地適正化計画は計画している自治体としていない自治体があります。
街の線引きは当然地下に大きな影響を与えることになり、地権者や有権者との忖度も大いに関係してくると思いますので過信せずに参考程度にとどめておきましょう。

○○(自治体名) + 立地適正化計画
で調べると出てくるので気になる自治体の立適を調べてみましょう。
周辺環境

生活利便施設も自分がよく使うものをしっかり挙げておき、それらが徒歩圏内やよく利用する駅周辺で満たせるか確認しておくといいでしょう。
あとは嫌悪施設があったりするかどうかも要確認ですね。

例えばどんな具合ですか?

以下のチェックポイントを参考にしてみてください。
駅は大事ですが、必ずしも駅を中心に街づくりをしているところばかりではありません。
ぜひ確認してみてください。
資産価値が維持しやすい周辺環境のチェックポイント
- イオンモール等の大型ショッピングモールが徒歩圏内であること
- 区役所、市役所等の官公庁施設が徒歩圏内であること
- 夜遅くまでやってるスーパーやドラッグストアが徒歩圏内であること
- カーシェアサービスが徒歩圏内であること
- 学校(特に高校、大学)が近くに点在しててアクセスがしやすいこと
- パチンコやカラオケ施設、ラブホテル等の不特定多数の者が夜間自由に出入りできる施設が近距離にないこと

ありがとうございます。
自分なりに必要な施設を洗い出してみます。
こういった情報が探しやすいサイトとかありませんか?

名古屋市内にはなりますが、沿線別のコンビニ数だったり公園だったりを調べてる面白いブログがあります。
一度参考にしてみてはいかがでしょうか?
接道状況

接道ってなんですか?

接道とは土地に接続している道路の幅員と接している間口(道路付けともいう)の関係を言います。
マンションよりも戸建てに大きく影響してきます。

なんで重要なんですか?

建築基準法で接道義務が課せられているため、その土地に家が建てられるかどうかは接道が握っています。
建築基準法では『建物を建築する土地は、公道4m以上の幅員の道路に2m以上接していなければいけない』と定めています。

それ以外にも接道は生活のしやすさに直結するため特に戸建てでは非常に重要な要素です。
図を見てイメージしましょう。

これらはすべて接道による価格付けを表したものです。
間口が狭い土地は間取りに制限があるだけでなく、あまりに細長い建物は構造上不利です。安全性にも問題が出てきます。また奥行きが長いとそれだけ面積が大きくなり不便な土地のわりに価格は高くなりやすく割高感もあります。
間口は最低でも2間半(4.5m)は欲しく、ベストは5間(9m)以上です。
旗竿地は間口がどれだけ取られているかを確認しましょう。
建築基準法上最低の2mしかとられていないと車のドアを開けて出ることも難しいです。
3.5mあれば車の横を自転車を押して奥まで入れることも余裕でしょう。
路地上部分が狭くて長いほど建築費等の加算料金がかかると思った方がいいです。
幅員が狭い道路を狭隘道路といいます。専門用語で2項道路とも呼ばれます。
道路は4mないと建物を建築してはいけませんが、敷地の一部を道路とみなすことで4mになるようであれば接道を満たしていることになります。
上図の場合、本土地と道路の反対側の土地でそれぞれ1mずつ土地を道路とみなし(セットバックといいます)、建物を建築できる土地にしています。
前面道路だけ広くてもそこまで行くのに狭隘道路であっては結局たどり着けません。
なのでしっかり現地を見て物件までどのぐらいの道が通っているのかをよく確認しましょう。
基本的にかなり坪単価が割安な土地はかなり道が狭いと思った方がいいでしょう。
戸建ての場合6m程度の道路が最もストレスのない道路幅員だと思います。

土地を探す場合、「あれ?この土地周辺より安くない?」って思った土地の9割くらいは接道が悪く、上記のどれかが該当してると思って大丈夫です。
どの接道なら自分は妥協できるかはよく家族で話しておくといいと思います。
まとめ
- 不動産の価値は立地が9割
- 立地は広義の立地と狭義の立地があり、重要度は(広義の立地)7:3(狭義の立地)
- 広義の立地は主に自治体のこと。どの自治体に住むかを意識しよう
- 狭義の立地は最寄り駅との関係や周辺の商業施設の集積度、立地適正化計画、接道などが関係してくる
- マンションなら駅徒歩7分以内を意識しよう。※駅規模によって多少変わる
- 立地適正化計画なる新しい街の線引きが行われつつある。都市機能誘導区域と居住誘導区域内がよさそう
- 接道は特に一戸建てはすごく重要
- いい接道は6mの道路で9m以上の間口※ただしもちろん金額は高いと思われる。